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記事: 晴 香 園 Farm Letter Vol.07

晴 香 園 Farm Letter Vol.07

晴 香 園 Farm Letter Vol.07

 土と創る.07  藤崎りんご(PDF版ダウンロードはこちらから)



命のりんご 福田 秀貞の個性


日本に数軒しかいない奇跡のりんご農家

 りんごには通常、30剤以上の農薬が使用されるという。野菜や他の果物に比べ、りんごの無農薬栽培は非常に難しく、ほとんど不可能に近い。有機JAS認定となると、さらに厳しい管理体制が求められ、隣接する畑の一定範囲を緩衝地帯として有機JAS認定地から削除する必要がある。また、一般のりんごとは別に保管・選別され、完全に農薬の影響のない状態で管理されたものだけが、有機JASシールを貼って出荷できる。化学合成された農薬や肥料の使用が発覚した場合は高額な罰金が課せられる。りんごの有機認証を取得している生産者は日本にほんの数人しかいない。
   晴香園の代表・福田秀貞さんは、圃場の全面積4・5ヘクタールで有機JASの青森りんごを栽培している。平成11年に青森県の特別栽培、17年に有機JASの認証を取得した。幾多の困難を乗り越え、試行錯誤を繰り返しながら、自分自身や消費者の体によい、健康的でおいしいりんごを育てたいという信念で栽培し続けている。

妻・泰子さんは、よき伴侶


病気の方々の笑顔を励みに

【晴香園 福田秀貞さん】


誰もが皮のまま食べられるりんごを

 りんご栽培が盛んな青森県で17年間、化学合成された農薬・肥料を使用せず、自然に近い環境で有機りんごを大切に育てています。抗酸化力が強く、時間が経っても切り口が褐色化しづらい、安心して皮ごと食べられる、おいしいりんごです。
  昭和40年に大学の農学部を卒業し、家業のりんご栽培に3代目として従事して、だいたい40年ぐらいになります。家族が愛読していた月刊誌に減農薬栽培のりんごの宣伝を載せたことをきっかけに病気で苦しむ方々の存在を知り、無農薬への挑戦を始めました。この本の会員の方々が、わが家のりんごの消費者になってくれました。
  米や野菜の有機栽培がマスコミで取り上げられ、私たちも講演会や講習会に出かけ、可能な方法を探しました。平成5年、琉球大学農学部の比嘉照夫教授の講演会に家族と出かけて、EM農法に出合ったのです。「EMなら、りんご栽培が無農薬でできる」と聞き、昔から好奇心が旺盛な私は熱中しました。試してみたところ、たまたま天候がよかったのか、とてもうまくいったのです。「これ一本でやろう」と思い、4町歩すべてEMで本格的に取り組んだところ、大失敗してしまいました。平成12年に農薬不使用に成功するまで、苦労続きでした。有機栽培にようやく自信がもてるようになったのは、その4年後です。月刊誌の会員の方々が消費者として面倒をみてくださったおかげで、挑戦を続けることができました。


自家製のアップルビネガーを開発

 有機栽培のために、EM菌を利用して、摘果したりんごでりんご酢を作りました。培養する器をあれこれ試し、自家製のアップルビネガーが完成しました。それを定期的に散布することで、徐々に収量が安定してきました。自分の畑の摘果りんごを、EM菌を使ってアップルビネガーとしてまた自分の畑に返していく、この自然循環を基礎に、さまざまな試行錯誤を繰り返しました。
  太陽や風の恵みをしっかりと受け、アップルビネガーがかかりやすいように、りんご園では樹間・幹間・枝間を十分に空けています。無農薬栽培のりんごは手間暇をかけても1本の木になる実がとても少なく、農薬を使っている慣行栽培の1/2~1/3しか収量がありません。以前は近所のりんご農家からも奇人変人扱いを受けました。


地球の命までをも考える基軸を持つ

 青森県のりんご産業は130年の歴史があります。県りんご試験場や弘前大学農学部から、農薬中心の生産情報や防除暦などがりんご協会(生産者の組織)や農業普及センター、農協を通して各農家に流れ、生産者への支援体制が万全なのです。ですから、青森県では頭を取り替えるくらいの覚悟がなければ有機栽培に取り組むことはできません。自分の命と他人の命と地球の命まで考えるという基軸を心の中に作らないとぶれてしまいます。しかし、母の支え、短大の栄養科を卒業して農協職員、生活指導員をしてきた家内の泰子の理解と努力があり、困難な道を歩んでこられました。
  私のりんごは病気で困っている方たちに届けられています。化学物質過敏症の方から、「食べられるりんごに巡り合えた」と手紙が届いたときに、「これでいいんだ」と手応えを感じました。ヨーロッパから輸入した有機のドライフルーツしか食べられなかった方にも、「20年ぶりにりんごを食べている」と喜んでもらえました。普通のりんごが食べられない患者さんが安心して皮ごとかぶりつけるりんごを育てたいと思っています。「おいしくって皮も芯も丸ごと食べています」「いままでは食べられるりんごがありませんでした」「りんごが大好きです。今日はとても幸せで涙が出ました」と、全国の皆さんから寄せられる感謝の手紙が励みになっています。
  家内は病気の方には、「空元気でもいいから元気を出して」と返事を書きます。また、大きい声を出して笑って励ますことが十何年も習慣になっています。自分自身が元気じゃないと病気の方の悩みに応えることができません。「いろいろな人に巡り合って感謝されるようになって、これまでの苦労はなくなった」と、喜んでくれています。


指導者として健康なりんごを次世代へ

 私は昭和16年生まれで歳も歳ですから、あと何年生きるかわかりませんが、これからは有機JASりんごの栽培を目指す人に教えていきたいと思っています。日本は有機のりんごが特に少なく、まだ果物を目で食べているような状態ですが、外国は環境や健康を重視しています。日本も変えていかなければなりません。こういうことを言うと隣の人に「おまえ、バカだ」といまでも言われます。
  私は若い人たちにもっと夢を持ってほしいと思っています。何を言われようと夢を追い続けていくことも大事だと思います。
  化学物質過敏症という環境病の方々との出会いにより、もっとよいものを作ろうと私たちはいっそう気持ちを引き締め、高みを目指すことができます。りんごは健康にいいものですから、食べて健康になってもらいたいのです。当園のりんごが受け入れられ、支持されたことが何よりの喜びや生きがいとなり、とても感謝しています。


【化学物質過敏症】
非常に微量の薬物や化学物質(主に揮発性有機化合物)の暴露によって健康被害が引き起こされるとする疾病概念。人体の薬物や化学物質に対する許容量を一定以上超えると引き起こされるとされており、個人差が大きいといわれる。

【EM】(Effective Microorganisms=有用な微生物群)
自然界から採種し、抽出、培養した微生物。食品に使われる乳酸菌、酵母をはじめ光合成細菌、放線菌、糸状菌など、EMの中には数十種類の働きの異なる微生物が入り、土の持つ力を十分に発揮させ、植物が健康に育つ環境を作り出すとされる。


晴香園の商品

・有機JASふじ
・有機JAS王林
化学合成された農薬や肥料は一切使用しない本物のりんご

 

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